パスタをゆでろ

一方的に話をしたい猫背からの打診

ベイビードライバー

 

「ベイビードライバー」を見てきた。今サントラを聴きながらレビューをかいている。

 

☛簡単な紹介

耳鳴り持ちの主人公の青年ベイビーは、音楽を聞くことで耳鳴りそしてその原因のトラウマをかき消すことができる。サングラスにイヤホン、世界を遮断している一見変わり者の彼は、実は世間を騒がしている「逃がし屋」だ。イカれたドライブテクニックと最高にアガるBGMで幾人もの犯罪者を逃がす。スレスレの人生とその先で彼が選ぶナンバーを一緒に体験する作品。 


Baby Driver Trailer #1 (2017) | Movieclips Trailers

 

 

☛要素

①バズコンテンツ

②名前について

③後半ストーリーの稚拙さ

 

以下内容に触れます。見てないひとは劇場に急げ、TUTAYAじゃない。劇場で目撃することを強く勧める。そして③について一緒に話をしてくれないか?

 

①バズコンテンツ

冒頭のノリノリのシーンを見て連想したのはMotokiの動画。


Car Rides with Motoki

終盤の町中おいかけっこでは、パルクール 


The World's Best Parkour and Freerunning

養父との会話で「バナナがつまって聞こえない」

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最近ネットでバズったものたち。口パクに関しては芸人が定期的に売れる芸としてあるので最近に限定するのは正しくないけれど。さらにいえば冒頭のシーンは過去にエドガーライトが監督したPVのセルフカバーだ。

とりあえず最近世間が好きなコンテンツの1つだということが言いたい。


Mint Royale - Blue Song

 常にイヤホンという主人公像は現代の若者の象徴的存在だ。そしてイカしているのが主人公のキャラ付の設定が細かいところ。 

 常にイヤホンで音楽を聴いている→過去のトラウマからの耳鳴りを紛らわすため

寡黙→話せない養父と暮らしているため

運転技術→両親を亡くした原因である車の事故の克服のためか? 等々

言葉で語らず主人公の背景を映像で見せてくれる、映画を見ている!これは最高に映画だ!ほかにも作中で繰り返される内輪ネタのような伏線回収の連続はたまらない。

 

奇才に分類されるベイビーがかわいく愛おしくてたまらないのは、信頼している人の前や一人きりの時はまるでふざけた中学生男子みたいな下らない変人になるからだ。吸い込まれそうに無防備なデボラに夢中な姿、養父の前での少年のようなはしゃぎ方。犯罪組織での彼は最高にクールなのに、そうでない時の彼は全くかっこつけていない、なんならダサいBABYちゃんだ。彼は、女の子と家族そして音楽が好きなそこらへんにいる青年の1人なのだ。

 

キャッチーなコンテンツと中二病ドストライクで等身大の主人公。見慣れているいや見たことがない、既視感はあるのに今まで見たことがない。ステージが何段階も違う最高にクールなそれから僕たちは目が離せない。

 

 

② 名前について

映画が終わって最初によぎったのは千と千尋の神隠しだ。名前を取り戻すことで本当の自分の日常をまた手にできる。

彼は作中ずっと逃がし屋としてのコードネームBABYを自身の名前としてかたる。任務外でのコーヒー屋や好きな人にも自分はB·A·B·YのBABYだと名乗る。

コードネームを名乗っていた他の仲間たちは本名が明かされるタイミングと死ぬタイミングが一緒だった。彼らがコードネームの人物でなくなる時というのはつまり彼らはもう誰でもなくなってしまうということだ。本当の名を捨ててしまった彼らは名前が偽りだとばれれば存在すら嘘になる。

BABYは逮捕されることで本名も明かされBABYからマイルズになった。彼は、マイルズだったのだ。死んだのはBABYのほうだった。真面目に服役し出所した彼はマイルズとしての人生を手に入れる。

 

③ストーリーの稚拙さ

キャラも役者もアクションも音楽も最高だ。だからこそ以下の後半のストーリー展開に一言モノ申したい

(1)ベイビーを殺人犯にする必要はあったのか?

ベイビーは最終的にバッソとバディを殺してしまうわけだけど、あんなに直接的に殺す必要はあったのか。優しいベイビーが彼女は好きなわけで、甘さゆえに巻き込まれている彼をかばう彼女の像は受け入れやすいけれど、どんどん派手にやんちゃしていくベイビーにしっかりついていくデボラのたくましさにはつっこみたくて仕方がなかった。

そして ベイビーという仮面をかぶったマイルズであってほしかったから一線は超えてほしくなかった。

(2)ドクが最後だけ優しぎる!

冷酷無慈悲なドク。「車と車椅子、どっちにのりたいか?」なんて淡々と言うドクが!若い時の恋を思い出したくらいでそんな一瞬で!あんなにかっこいいヒール役だったのに最後あっさり負けちゃうのが悲しい…。

ラストは最高だった…!…しかし上二つを何とかしてもできたストーリー展開なんじゃないかと思う。でもいいんだ、いい映画って大体こうやってやんや言わせたくなるものだから。

ベイビードライバーを見た日に「ドリーム」も見たけれどあれは将来子供にでも孫にでも見せたいような王道的作品でなんの文句もつけれないんだけどブログはかけないんだよなあ。そして買って家に残してしまうのはベイビーなんだよなあ…。

 

 

☛その他蛇足

・コーヒーを買いにいく音にあふれたあのシーンが最高に好きだ。上京した時に感じたあの騒がしさ。雑踏の中、心をカチカチとつつくたくさんの音たち。田舎にはないたくさんの音。それを遮るようにするイヤホン、流れるミュージック、体からあふれでる高揚感。

 ・デボラとベイビーが共にべたぼれなのが本当に最高。デートの迎えにきたベイビーのかわいさといったらもう!お互いがお互いへの好意を惜しまないところが本当に愛しいですね。かわいいデボラを見るためだけでも再度劇場に足を運ぶ価値がある。

・このサントラにはBABYがMIXした「Was he slow?」ははいっている。最高じゃない?


Baby Driver - Opening Titles / Coffee Street Scene (Harlem Shuffle by Bob & Earl)

 

 

★★★★★